「まさか」という現実への対応
「君子あやうきに近寄らず」2 いきなり前回の続きですから、忘れてしまった方は第1回「君子あやうきに近寄らず」を読み直してからどうぞ。 考察1)定義1は最初に書いた「トラックに特別な注意をする5つの理由」の1〜4を考えれば、きわめて当たり前の行動です。乗用車がトラック(特に積載重量の大きいトラック)に追突されれば、ほぼ間違いなく、乗用車側が大損害を被り、トラックドライバーは怪我すらしない場合があるのです。そこに大きな問題があり、社会的責任の自覚のない方がトラックドライバーであった場合には、最悪の事態を引き起こす可能性があります。「相手は乗用車だから、あおれば速く走る」とか「あおれば道を譲る」と思っているトラックドライバーは現実的にいます。また、何も考えていなくとも、前車にピッタリと寄せて止まることを楽しんでいるトラックドライバー(トラックの運転が上手なドライバーは、アンダーミラーを見ながら停車すれば、前車と10センチの距離で止まる事も難しくありません)もいるのです。積荷があると加速しない、止まらないの連続でストレスが溜りますから、空荷になった途端に運転の荒くなるトラックドライバーもいます。腕自慢のトラックドライバーにも万一は起こります。さっきまで飲んでいた缶コーヒーを床に落としている事に気付かず、その缶がブレーキペダルの下に挟まってしまったら・・・。エアブレーキの配管が、たまたま道路に落ちていた石で傷付き、エア圧が急激に低下したら、また配管のジョイントに不良があったら・・・。そんな「まさか」を考えて運転しているトラックドライバーは何人いるでしょう? 少なくとも、前述したような行為を行なっているドライバーの頭に「まさか」は存在しません。つまり、乗用車を運転中に後続車がトラックであれば、万一追突された場合を想定する必要があります。前車との車間距離をあけていれば、トラックに追突されてから、前車に衝突するまでに僅かにでも衝撃を和らげることができますし、まわりの状況や自分のクルマに乗っている乗員によっては、ステアリングを切り込んで急所を避けることが可能です。片側2車線の道路で、左右どちらかにクルマが入れば巻き込んでしまう可能性はありますが、怪我人を減らす事や死亡事故を防ぐためであれば、多くの車両に衝突した方が衝撃は減らせます。では後続が乗用車ならば、停止時に前車との距離を詰めてもいいの? というのは愚問ですね。全てにおいて、前車と距離を置いて停車する事は都合がよいのです。万一前車が突然オーバーヒートして動かなくなったら、万一過労運転で前車のドライバーが信号待ちの停車中に寝てしまったら、バックしないでも避けられますね。左側が通路になっていて対向車が右折してきたら、交通の円滑化に役立ちますね。なんか前に割り込まれる事が損だと思って運転しているドライバーがあまりにも多いような気がします。AT車でブレーキばかり踏んでいるドライバーは、その典型ですから、私はそんなクルマとは通常の2倍の車間距離をとって運転しています。 | |
意外と快適なトラックキャビン スポーツカーやハイパワー車にしか乗らないと思われている私ですが、実はトラックは大好きです。その理由は乗用車にはない快適さがあるから。理由5の考察です。トラックのキャビンが快適であることは、決して悪いことではありません。特に長距離運行のトラックに快適性は欠かせないものです。ではなぜ快適性が「トラックに注意が必要な理由」になるのでしょう。 とくに大型車のキャビンに乗ればわかりますが、2階で運転しているような感じです。非常に見通しが良く、前方の交通の状況をいち早く把握できるのです。逆にその高さゆえに、後続車は前方視界を塞がれます。前方の交通の状況をいち早く把握できるということは、障害物の回避行動が異様に早かったり、状況のわかっていない前車の立場を無視した行動を起こしたり、出し抜くような行動を招く場合があります。いちばん分かりやすい例は、強引な割り込み。強引な割り込みによって、想定される事故は色々ありますが、2例をあげましょう。まずは割り込まれる車両との接触事故、もうひとつはオーバーハングによる2輪車を代表とするすり抜け車両との接触事故です。前者は運転免許証を持っている方なら誰にでもわかる事ですが、後者は意外にも認識が低いように思います。オーバーハングというのは、後輪から後ろのボディが長い場合に起こる現象です。作図すれば解り易いですが、例だけで簡単に書いてしまいましょう。トラックでなくともトランク部分の長い乗用車の中には後輪より後ろ部分のボディが長い車種もあります。こういったクルマを壁際いっぱいに止めます。停車位置で止まったままステアリングをめいっぱい右に切り込んで発進してみてください。リヤバンパーの左端を壁に擦ってしまう場合があります。これがオーバーハングで、全長のあるトラックでは当たり前の事。2軸の大型車の中にはオーバーハングによるボディはみ出しが1mもある車種もあります。オーバーハングの知識がなければ仕方ないかもしれませんが、2輪車で渋滞車両左側のすり抜け中などに、突如大型車が車線変更すると、オーバーハングによる接触事故が起こる事があります。トラックと2輪車の接触だけにととまらず、後続の乗用車が転倒した2輪ライダーをひいてしまう場合もあります。私はトラックの後続になることは、出来るだけ避けるように運転しますが、避けられず後続車になってしまった場合には思いきり車間距離を開けます。すると、経験あるライダーは無理にトラックの左側を通らず、私の前を横切って進路変更してゆきます。左から右車線に突如進路変更するトラックは右ミラーはしっかり見ているので、右後方の2輪車の存在は見落とさない場合が多いのです。 トラックのキャビンの高さは、傲慢運転を誘発する事もあります。高いところにいると偉くなったと勘違いしてしまうドライバー、下から見えないのをいいことに、とても書けないような事を運転中にしているドライバーもいます。そんなドライバーの運転するトラックの前を安心して走っていられるでしょうか? トラックドライバーの善悪を見極める目安は車間距離だと思っていて間違いありません。 |
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