2001年01月12日施行

第12条 ドライバーは成就せよ


97年スピマイあ〜るビデオ撮影(撮影時のドライビングはレース並の真剣勝負)



[続サーキットスポーツはマラソンのようなもの?]



 レースをはじめとするモータースポーツ競技会には足を踏み入れたくないが、ドライビングテクニックは認めて欲しいという方もいるだろう。むしろこちらの方が一般的のような気もする。自己満足で十分といって結論を出したら話が終わってしまうので、気の利いた話でも考えてみよう。
  筆者は日常的にサーキットに通いながら、様々なドライバー達を見ている。そのタイプやレベルは千差万別で、また「ドライビング」の目的も様々だ。そんなドライバー達と数多く接しながら、ずっと気になっていたことがある。「ドライビング」を極めたい目的は同じでも、その先にある目標が明確でない事。「ドライビング」を極めること、ステアリングを握っている瞬間こそが目的であり目標とも言えるけど、それは多くの場合に自己満足。しかし「ドライビング」の自己満足レベルが極めて高いドライバーに出会ったとき、そしてそのドライバーが明確な目標を持っていなかったり、目標に挫折している事実に直面した場合など、モータースポーツの発展にとって重要な人財(人材ではなく、財産である人財)として放っておくことが残念でならない。目標って何だろう?
 サーキットでスポーツ走行を続けているドライバーがいる。彼はラップタイムを縮めることに懸命で、クルマをセットアップし、ドラテクを鍛錬し、次々と新品タイヤを投入し続けている。そんな彼だがレースには興味がない。性格的に競い合うことが性に合わず、ラップタイムを縮めてゆく自分自身との戦いこそが彼の走る目的なのである。まさに第11条でいうところのマラソンだ。レース参戦が目標なのであれば優勝という結果があり、誰にでも分かりやすく明解なモータースポーツの成果である。では彼のような人は1台ずつタイムアタックした結果で勝敗を決するジムカーナ競技に出れば良いと考える。ただし彼は競技会という形態に興味がなく、しかもホームコースであるサーキットではジムカーナ競技は開催されていないのである。では彼の速さは自己満足でしかないのだろうか。彼はRaTechホームページや雑誌「オプション2」((株)三栄書房月刊雑誌)に掲載されるラップタイムランキングに掲載応募することで相対的に自分のクルマの速さ、自身のドラテク判断をしているという。サーキットラップタイムは速さを数字に置き換えたものだから、彼にとっては十分な成果であり、結果だろう。たくさんの読者が彼のラップタイムデータを目にすることも事実だ。しかし彼をドライバーとして客観的に評価することは難しい。比較されるクルマやその細かな仕様、タイム計測が行なわれた日のコースコンディション、季節などの条件がデータごとにバラバラなので、簡単に彼のドライビングを評価することが出来ない。ではどうすれば彼のドライバーとしてのポテンシャルを知ることが出来るのだろうか? 比較対象がいなければドライビングテクニックを認めてもらうことは不可能なのだろうか?
 彼のようなドライバー、または峠最速を誇るドライバーの現状は限られたサークル、きわめて狭い範囲の仲間内などでしかドラテクを認めてもらう方法はない。つまりお山の大将。そこで考えてみた。武道や書道には級や段位があり、スキーには級と指導員、英語検定だってある。では日本で唯一モータースポーツを掌るJAFはどうかといえば、講習会を受ければ誰でも取得できる国内B級、国内A級ライセンスからはじまり、国際C〜A級、スーパーA級へとレースの実績によって昇格可能なライセンス制度によるドライバー格付しか存在しない。それではレースに参加しないドライバーは国内A級までしか取得できず、またその目的はレース参戦であって、レース参戦しないドライバーにとってライセンスは不要なものである。ではタイムアタックに情熱を燃やす彼はどうすればよいか。今までには彼のドライビングレベルを判定する方法は存在しない。比較対象を必要とせず、ドライビングレベルを客観的に評価する方法として、ドラテク検定公認団体をつくり、検定基準を昨年つくってみた。Warpドライビング検定制度とドライバーズネット。でも上手く機能しない。新発足団体だから権威がないのは仕方ないが、もしかするとニーズがないのかもしれない。今年も定期的にドライビングスクールを開催しながら試行錯誤を繰り返すことになりそうだ。



ドラテク皆伝第11条

ドラテク皆伝第13条

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