2001年01月06日施行
第11条
モータースポーツと不景気とドライバー評価(その3)
レーシングカーと同じ昂りを与えてくれるスポーツカーRX−7
[サーキットスポーツはマラソンのようなもの]
ライセンスレースで実績を残すために大切なのは、自分自身がドライバーとして基準となれる事。ドライバーが基準に達していなければ、いくら速いマシンを手に入れても経済的負担は免れない。せっかくポテンシャルの高いマシンを手に入れても、ドライバーが基準に達する頃にはくたびれたマシンになってしまうからだ。速いエンジンというのはサイクルが短いのが宿命。予算が少ないのならば、マシン同志の比較対象が必要ない段階で自分を見極めておくことが重要なのだ。ではサーキット走行会からステップアップする場合。サーキット走行会の主催者やその関係者と仲良くなり、まずその人物がどれだけのドライバーやクルマを見てきた経験を持つかを見極める。そういう人物でなかったら、別の走行会に顔を出して同じことを繰り返す。または、自分のクルマを信頼できるドライバーに乗ってもらう機会を作る。そこで自分の客観的評価ができるはずだ。ただし、信頼できるドライバーといえども慣れは必要なので一発勝負はお勧めできない。
次にサーキットデビューとレース用マシンの購入が同時になった場合。「経験を積むためにレースに出なさい」という先輩やレース関係者もいるが、ここでは敢えてダメと言っておく。もしライセンスレースに参戦する際に、サーキット経験のないドライバーに対して「経験を積むためにレースに出なさい」という人がいたら、その人は悪意があるのではなく、その人自身のレース経験が不足していると判断するべきだ。危険であるだけでなく、バクチを打つようなものだ。バクチで大もうけできるがごとく、素晴らしい才能を発揮してレースに順応する能力を身につけてしまうか、ほとんどの人がそうであるように、バクチに負けて痛い思いをすることになる。それは勝ち負け以前に、ドライバーにレースを間違って認識させてしまう可能性が高いのである。せっかくサーキットを走ったのにモータースポーツを誤って認知する結果を招く。まず必要なのはドライバーに基準を知らせること。ルール・マナーは言うまでもなく、ドライビングテクニックに基準が必要であることを知らなくてはいけない。最低限の費用でマシンを走らせてドライバー自身とドライバーをサポートする人達が明確な基準をもってからライセンスレースには参戦するべきということ。場合によっては参戦するレースのカテゴリーを変更したり、レースへの参戦を見送らせることも必要だろう。最悪なのは半端な知識でレースマシンを購入して、勝手にサーキット走行をはじめてしまうこと。人の手を借りなければお金も恥もかかないと思いがちだが、現実は決して甘いものではない。必ず信頼できる人物のサポートを受けたり、具体的な助言を求めることをお勧めする。予算が少ないから人件費や練習走行費用を節約することは、結局予算と時間を余計に使う結果を招き、勝利からは遠ざかってしまうことを知って欲しい。人件費や練習走行費用を節約する必要があるならレース参戦を見送って準備期間を置くべきなのだ。レースデビューと同時に基準に達したドラテクと勝てるポテンシャルのあるマシンを準備することこそ評価を受ける最短距離であり、最も安上がりにレースで結果を残す方法だ。
デビューレースから勝ち負けに絡める自分を確信すること、または確信の持てるレースカテゴリーを選んで、必ず1度は上位入賞しよう。それも1年以内(レース1シーズン以内)で結果を出すことこそ、絶対条件である。ドライバーがまだそれが出来ない段階であると思うのならば、定期的にオーディションを開催しているレーシングスクールに入る方法もある。信頼できるスクールを選べば、最少の費用で自分を客観評価できるはずである。これらの方法がどれもイヤなら潤沢な資金を準備する以外にライセンスレースで生き残る方法はない。比較対象がある中でドライビングテクニックを認めてもらうためにはレース参戦開始から短期間に成績を残さなければいけない。お山の大将が好きだったり、入門カテゴリーを何年もやるなら自己満足とあきらめるべきで、他人に認められようなどとは考えない方が無難だ。そういった方々には気軽に、楽しく、長い期間にわたってレース参戦を続ける方法を模索していただきたい。