2000年8月14日施行

第2条



夏を制するドライバーとクルマはサーキットを制する。
ドラビングテクニック、クルマとの会話方法は炎天下で磨くものとする。


97年夏 日本海間瀬サーキット「あ〜るカップ」



[語り]

 私が今までのサーキット人生を振り返る時、思い出すのはいつでも夏のこと。
暑かった夏、燃えた夏、気が遠くなって意識を失いそうになった夏、意欲的に取り組んだ夏、苦悩した夏・・・、クルマをいたわり慈しんだ夏の日。サーキットの風景はいつも夏。雪に覆われてWARP走行会の当日中止を余儀無くされた富士スピードウェイ、一面の銀世界の中山サーキットでコースレコードを更新した日、冬の思い出も数多い。それでもサーキットで思い出すのはいつでも夏のことばかり。そこには真剣にドライビングに取り組んでいる自分、過酷な条件の中でクルマのコンディションを必死で探っている姿が常にオーバーラップするのだ。

[解説]

 夏になるとサーキットを走らない方は意外と多い。「暑いから」「タイムが出ないから」「ク−リング対策出来ていないから」。サーキットを走るドライバーにとっては当たり前の事ばかり。皆サーキット経験や夏のドライビング経験から得た貴重な意見なのである。しかし私はあえて反論する。特に「タイムが出ないから」というもの。タイム更新を目標としてサーキットタイムアタックを行なうこと、スポーツの意識として重要であり、勝敗を意識したドライバーにとって必要なことだ。そこまでは言わなくとも「趣味で走るのだから、タイムが出ない事わかっているのに暑い思いする必要ないし、クルマに負担をかけるのは無駄」というのは正論なのである。だが、モータースポーツをスポーツ意識から遠ざける大きな要因はまさにここにある。暑ければ、短時間にドライバーの集中力とクルマのコンディションを集約してタイムアタックする方法を身に付け、暑ければクルマに負担をかけない手段を身につける。気の遠くなるような暑さの中で手中にした勝利は一生忘れない財産となる。路面温度が10度以下になるサーキット環境でマークしたラップタイムを真夏に自慢する方がいるとしたら、スポーツマンであるドライバー諸氏はいかなる感想を持つだろうか。簡単に言ってしまえば、スリックタイヤでマークしたラップタイムをストリート用スポーツタイヤで頑張るドライバーに自慢するようなもの。

ドラテク皆伝第1条

ドラテク皆伝第3条

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