2001年4月26日施行

第22条

クルマを知ること基礎的思考


レース中のサーキットでも高速道路でも、コース状況の適確な把握は基本中の基本

知ってて当然[道路の勾配とテールスライド]

 ではさっそくドライビングテクニック的に事故を避ける(一般公道の話から入るけど、基本的にはサーキットでも変わらない)方法の話。前回を覚えていない方は読み直してから。
 例に挙げたような事態に直面した時に、クルマの基本的な事を知っているとか、モータースポーツの経験を通して対処法を身につけていれば、危機回避行動をとれることは多々ある。当たり前だが、クルマが進むのはタイヤがグリップしているから。つまりタイヤと路面の摩擦力が働いているからだ。ドシャ降りのハイウェイでタイヤをわだちの水たまりに取られた場合、この摩擦力が瞬間的になくなってしまう。普通の人なら、何より先にスピードを落とすことを考える。ブレーキを踏むとか、アクセルペダルからあわてて足を離すとか・・・

 万一、スピンしてガードレールに激突する事故を起こしてしまった場合には「スピード出すからそんな目に遭うのだ」と言われるのがオチ。果たして、ついつい起こしてしまった事故に「こうして、こうすれば瞬間的に対処できたはずだよ」と言ってくれる警察官がいるだろうか? 事故の状況を詳しく聞いて、いろいろなアドバイスをくれる親族や友人が何人いるか? 「だからスポーツカーなんて駄目と言ったでしょ。スピード出すから事故なんて起こすのよ」とか。もちろん身を案じてくれるからこそ、言ってもらえる有難い肉親の愛情だ。


でもちょっと待った! 事故を起こした現場が下り勾配だったとする。もし事故現場が登り勾配なら事故を起こさなかったかもしれない。それを「たまたま下り勾配だったから、運が悪かっただけだ」と片付けてしまってよいものだろうか? 登りでも、下りでも、クルマを知っていたら、さらには経験があれば、いかなる状況でも事故を回避する方法または最小限度で食い止める事は可能だったかもしれない。そこでお待たせ。前回は当たり前のように書いてしまったが、登り下りの話から。高速道路などのストレートやコーナーでの単独クラッシュは、多くの場合リヤタイヤがスライドしたことでドライバーがコントロール不能に陥っている。リヤスライドだけを考えれば、登り坂だとスライドする方向が登り勾配で、下り坂だとスライドする方向が下り勾配。つまり下り坂の方がテールスライドを起こし易い。まず知っておくべきこと。下り勾配は登り勾配よりもタイヤグリップを失った際には、テールスライドが起こりやすいのである。

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