2001年7月3日施行
第29条
駆動方式とタイヤの関係その1
アンダーステアの状態になるほどにフロントタイヤの切り角は増えてゆく(ファルケンアゼニスタイヤテスト)
クルマの駆動方式は現在5種類。フロントエンジン&フロントドライブのFF、フロントエンジン&リヤドライブのFR、ミッド(ドライバーとリヤ車軸の中間)エンジン&リヤ駆動のMR、リヤエンジン&リヤ駆動のRR、エンジン搭載位置にかかわらず4輪が駆動する4WDである。「ドライビング」ビギナーから最も質問の多いのが、駆動方式別のドライビング方法。タイヤグリップの範囲内で走るのであれば、駆動方式はフィーリングと実用性だけの問題である。ところがタイヤがグリップ限界を超える時、すなわちアンダーステアやオーバーステアという現象を一度でも経験したならば、駆動方式が「ドライビング」にとってきわめて重要であることを認識する。一般的認識ではFFと4WDはアンダーステアで、あとの駆動方式はオーバーステアというもの。間違ってはいないが、きわめて誤解を招きやすい。厳密に説明すると以下のようになる。 アクセルオンにおけるコーナリング中に駆動輪の縦方向のグリップ力(トラクション)が多用され、横方向のグリップ力が限界を超えた場合にアンダーステアになるのがFF車、オーバーステアになるのがリヤ駆動車、どちらにもなり得るのが4WD車である。さてここでタイヤの話を思い出してもらおうか。縦と横のグリップの和が100だったね。理解しやすいように5つの駆動方式のクルマの前後輪のタイヤサイズもブランドも全く同じであると過程して説明しよう。5車種とも4輪のタイヤグリップ合計は400。ロ−ルによる左右の荷重移動、ピッチング(アクセルオンとブレーキング)による前後の荷重移動を全く無視して、コーナリング中に駆動輪のタイヤグリップ力が縦横均等に使われるとしたら、横方向のグリップの和は2WDが50+50+100+100=300、4WDが50×4=200となって、その差は100。ただし2WDの非駆動輪も横方向のグリップ力を使ってコーナリングしているから、実際には100も差はないのだが。やや乱暴な説明ながら、4WDはコーナリング中に横グリップが2WD比べて少なくなり、逆に直線では縦グリップが2WDよりも多くなることが理解できるだろう。単純に考えると、コーナリング性能は2WD、直進時のトラクションは4WDが有利なのである。 |