2001年7月31日施行

第31条

クルマは地球を走っている事を悟ろう


筑波サーキット東コース1コーナーにおける撮影。現在はコース改修されTCツクバコース1000となったが
当時はおもにミニバイクコースとして使われており、エスケープゾーンがほとんど無かった。        

 筆者はドライビングスクールの時に必ず定常円旋回をさせる。それもパイロンを1本だけ立てて「世界最小のコーナリングをしなさい」と言って、パイロンにクルマのノーズを出来るだけ寄せて回転させたり、ハンドルを据え切りしないと曲がれないような円旋回を最初に行なう。なぜパイロン1本のパイロンターンが「世界最小」か理解できるかな? 宇宙から地球を見ながら考えればよ〜くわかる。パイロンターンを徐々に大きな円旋回に広げて行くと、最終的には地球1周する事になるから、最後には直線になる。言い換えれば直線は世界最大のコーナリングなんだよ。やや無理のある理屈だが「パンロンターンが下手ならばストレートでも遅い」といって激を飛ばすわけ。結局はクルマは地球の上を走っているから、地球上を支配している物理的原理を無視することは出来ない。本当に速く走ろうと思うなら物理的にクルマを考えないと駄目なんだ。「オレは文系だから、物理なんて無理」と言うなら、物理に強い人に頼るしかないね。つまりクルマのセッティングが出来ないということになる。つまり自分にとってベストなクルマ作りが出来ないから、運転が上手になったり、サーキットを速く走るためには人よりも時間とお金を必要とするわけだ。潤沢な予算のある人でないなら、まだまだ続くドラテク皆伝でいろいろ書いてゆくので、とりあえず勉強だけはしておこう。すでにクラッシュの話でコーナリング半径と仮想円の接線は書いたけど、コーナリングを考える時にはタイヤは滑ることを前提にしなければいけない。場合によっては滑った方が都合いい事もある。だからドライバーはタイヤが滑る事に対処できなければ本当のコーナリングをマスターできないのである。「世界最小のコーナリング」を体験すれば世界一グリップ力のあるタイヤを履いたモンスターマシンでも軽自動車よりコーナリングスピードが遅いこともある現実を理解できる。こんな事を言うと「俺はサーキット専門で、ジムカーナするわけではないから関係ない」という人がいる。世界最大のコーナリングが直線という例をよく考えてみて欲しい。コーナリングという行為には必ず速さの境目がある。本当に速く走ること、いかなるコーナーでも最も高い速度を維持することを考えなければ、全く同一のクルマでドライバー同士が競い合う場合に勝ち残ることは出来ない。負けた時にはじめてドライバーとしての能力を思い知ることになる。それこそスポーツというものだ。

ドラキンからの提案

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