2001年5月25日施行
第25条
タイヤの基本を知ることから
ウェット路面でコントロール不能になったら、何処でクルマを止めるかもテクニック
どんなタイヤでもメーカーさんがきちんと作ってくれているから、使用限度を越えたり、特殊な使い方をしない限りはきわめて安心なグリップ力を提供してくれる。それでも大雨のハイウェイなどではいきなり深い水たまりに遭遇してしまう事がある。第23条から説明している件だね。簡単にいえばハイドロプレーニング現象というけど、こればかりはどうにもならない場合がある。ハイウェイの速度域で深い水たまりという特殊な状況。もちろん雨が降ればハイウェイでも50km/h規制になる事は多いが、突如大雨に遭遇することもあるから、予期せず水たまりにクルマが突入してしまうこともありうる。雨の話ばかりしているけど、それは地域を問わず日本中の人が日常的に遭遇する可能性のある話だからだよ。 乾いた路面での話もしてみようか。テーマはタイヤの性能がクルマに与える影響のこと。どんなにハイパワーでサスペンション性能に優れたクルマでも、装着しているタイヤが木で出来ていたら、曲がらない! 進まない! 止まらない! の3拍子で、スタンダードな軽自動車に普通のラジアルタイヤの組み合わせで直線でもコーナーでも勝負できてしまう。極端な例だけど、レーシングスリックタイヤと10インチのスタンダード軽自動車用タイヤのグリップ力の差はそのくらいある。だからタイヤ性能をどんどん引き上げてゆけば、ドラテクの理論なんてなくても、少しくらいエンジンパワーがなくても、いいかげんなサスペンションセッティングをしても、それなりに速いコーナリングが可能になってしまうのだな。えっ、耳が痛いって? ではきちんと読もうね。 改めてタイヤのことを考えてみよう。第23条での宿題の正解がCからDの区間というのは、ほとんどの人がわかったと思うけど、A地点からD地点までの過程とドライバーの対処法を正確に説明できる人は少ないだろうな。もし最初にスリップが発生したA地点で完璧にタイヤグリップが失われたとしたら、A地点から仮想の接線に沿ってコーナーの外側であるE地点にクルマは激突するはず。でも実際にはAからB地点までは普通にクルマは曲がっている。急激なタイヤグリップの低下でコーナリング半径が大きくなろうとするのと、B地点に至るまでのアクセルオフの過程で起こる初期的なタックインがバランスしているため。つまりタイヤグリップはゼロではないということ。凍結路面やオイルにのった状態に比べたら、まだまだタイヤグリップは頑張っている状態なのだ。ところがB地点に至って完全にアクセルオフでコーナリング半径が小さくなり、唐突にブレーキを踏んだC地点でタイヤグリップは急降下してD地点でクラッシュ発生となった。ではドライバーはどうするべきだったのか。すでに復習だから、よ〜く考えてみてね。模範解答は第26条に持ち越しだよ。 |